俺が小学三年生のときの話。

俺は東京生まれ東京育ちの

江戸っ子なんだが

父も母も島根の出身で

夏休みのある日に母方の実家に帰った。

久しぶりに会う

じいちゃんとばあちゃんは

孫がかわいくて仕方ないらしく

俺と弟をしきりにかわいがってくれた。

その家は特に変わったところのない

ちょっと大きめの一軒家だったが

一つだけおかしなものがあった。

それは、居間にある金庫だった。

(当時の俺の目には奇妙に映った)

まぁ電子レンジくらいの大きさの

普通のダイヤル式の金庫なんだが

神棚の下に仰々しく置いてあった。

まるで金庫を祀っているように。

子供というのは何でも

いじりたがるもので、

俺も御多聞に漏れずその金庫を

開けようと躍起になっていた。

その様子を止めるでもなく

じいちゃんは目を細めて見ていた。

居間に入ったばあちゃんが

「ちょっとおじいさん!

〇〇ちゃんが・・」

なんてことを

じいちゃんに言ってたが

「どうせ開かんよ。」

みたいな感じでじ

いちゃんは放任していた。

じいちゃんに

「開けてよー、

一億万円入ってるの?」

とか言ってみたが

「こりゃ壊れとるんだ。

じいちゃんにも開かん。」

などとはぐらかされた。

俺も次第に飽きてきて、

他の遊びをするようになった。

じいちゃんに

「明日はイカ釣りに

連れてってやるからな。」

と言われた。

夜、新鮮な魚をふんだんに

使った料理が食卓に並べられ、

東京で売ってる魚よりも

格別にうまい魚料理を食った。

大人たちは酒を飲み始め

食い終わった俺と弟は一緒に

また家中の探索に向かった。

そしてまた、

例の金庫をいじり始めた。

 

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